テレビ報道に見る産業・経済月報(平成24年6月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成24年6月)

●今月の特徴

「長引く円高、縮小する国内市場・海外拠点拡大を加速させる日本企業」

今週の特徴は1.円高関連の動き、2.株主総会の動き、3.エネルギー関連の動き、4.震災の影響・復興の動きとなった。

 

1.【円高関連の動き】

日本の製造業が海外に置いた現地法人の設備投資額が今年1~3月に104億ドルとなり、過去最高を更新した。前年比27%増。海外現地法人の売上高は10四半期連続で増えた。円高などを背景に、製造拠点を海外に移す動きが加速している(テレ東)。トヨタ自動車など国内の自動車メーカー8社は中国、インド、メキシコなど新興国を軸に現地生産を拡大する(フジ)。長引く円高や国内市場の縮小で、自動車や家電を中心にメーカーが海外拠点を拡大し、海外での生産比率を増やしている(NHK)。トヨタ自動車は、2014年にも国内の生産能力を50万台ほど削減し、310万台体勢にして海外生産を増やすと報じられた。円高による採算悪化を、トヨタ自動車としては軽減したい意向だ(テレ東)。また、トヨタは円高ユーロ安が進む中、為替の変動が経営に与える影響を抑えるため、愛知・大府市での北米向けの小型車「ヤリス」の生産を日本からフランスに移すと発表した。トヨタは初めてヨーロッパで生産した車を北米に輸出することになる。ホンダは、中間所得層の拡大で自動車の販売台数が急増しているインドネシアでの生産能力を大幅に引き上げるため、首都・ジャカルタの郊外に新たな工場を作ることを決め、起工式を行った(NHK)。長引く円高で輸出の採算が悪化する中、日産自動車は、神奈川県にある主力の追浜工場で、生産ライン2本のうち1本を7月から停止する方針を明らかにした。これにより、国内の年間生産能力はおよそ15%減り115万台となる。一方で、日産は中国・大連市で、中国4か所目の新工場建設に着手した。投資額は約625億円。年産15万台から最終的に30万台に拡大する予定(テレ東)。 

 

2.【株主総会の動き】

①電力会社の株主総会

全国10電力会社のうち(沖縄電力を除く)9社(北海道電力、東北電力、北陸電力、東京電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力)で一斉に株主総会が開かれた。このうち7電力会社(北海道電力、北陸電力を除く)で「脱原発」の提案がされたがすべて否決された。怒号も飛ぶ大荒れの展開となった東京電力の株主総会では再建のため、実質国有化を受け入れる事が正式決定された。出席した東京都・猪瀬副知事は東電社員専用の病院の存在を指摘し「売却すべき」と迫った。猪瀬副知事は、民間の火力発電設備の推進、設備投資に競争原理導入、顧客サービスの最優先、経営の透明性など4つの提案を東京電力に対し迫った(テレ朝)。一方、関西電力の株主総会には筆頭株主である大阪市・橋下市長が出席し、橋下市長は「可及的速やかなすべての原発の廃止」など10の議案を提案。また中間貯蔵施設の増設や原子力発電所の依存度15%の実現可能性などについて質問した。関西電力は中間貯蔵施設の設置については具体的な報告はできず複数の原発が再稼働しなければ持続的・継続的な経営は難しいとし、28の株主提案はすべて否決された。関西電力・八木社長は大飯原発以外も安全性が確認され次第再稼働する考えを示した(日テレ)。

②その他の株主総会

東京メトロの株主総会では東京都・猪瀬副知事が出席し経営陣を痛烈に批判。東京メトロは都営地下鉄には約1兆円の負債があるため、経営の一元化に慎重な姿勢を示してきたが、猪瀬副知事はサービスの向上と運賃を一元化するためには都営地下鉄と東京メトロの経営統合が不可欠と主張。さらに、東京都大田区の資産価値約64億円の広い空地を利用者に還元すべきだと主張した(TBS)。損失隠し事件で揺れたオリンパスでは事件後に就任した笹宏行社長が過去の反省にたち世界一流の製品づくりで社会に貢献すると述べ主力の内視鏡など医療事業を柱に収益の早期改善を宣言した。最終調整が進むソニーとの提携について株主からは目先の利益だけにとらわれず製品の強さを貫いてほしいとの声もあがった(TBS)。大王製紙株主総会では創業者の孫の井川意高前会長がグループ会社から巨額の金を不正に引き出した事件を起こしたことについて佐光正義社長が陳謝し、社外取締役を初めて選任し、経営の監視体制の強化を図ることを打ち出した。新日鉄住友金属工業の株主総会では両社の合併が承認され、この結果、世界2位の生産規模を持つ鉄鋼メーカー・新日鉄住金が今年10月に発足する事が正式に決定した(NHK)。パナソニックの株主総会では、大坪文雄社長(新会長)が業績不振を謝罪するとともに、今後のV字回復を強調した。また、業績不振が続くソニーも株主総会を開き、平井社長が再生を訴えた。また、三井物産は株主総会で、今期について減収減益見通しとなったことについて株主に対し新興国の景気減速に考慮したと説明した(テレ東)。

 

3.【エネルギー関連の動き】

日立製作所はリトアニアと交渉中の原発の契約について議会の承認を得たことを明らかにした。日立製作所が受注するのは2021年稼働予定のリトアニア北東部のビサギナス原発で、送電予定の周辺国から合意を得た上で正式に契約が結ばれる。事業規模は4000~5000億円とみられていて、福島第一原発事故後、初の日本の原発プラント輸出となる(TBS)。電力不足が懸念される中、大手鉄鋼メーカーの間では製鉄所にある発電設備の能力を増強し、電力会社に供給する電力を増やす動きが広がっている。新日鉄東京電力は、今月下旬から千葉県の新日鉄製鉄所で共同の新しい発電設備を稼働させる。JFEスチールは千葉県の製鉄所の発電設備を今月末まで24時間稼働させることにしていたが、来年3月まで延長することを決めた。神戸製鋼所関西電力の要請を受け、兵庫県の製鉄所の発電所を当面フル稼働する方針(NHK)。一方、津波で被災した福島県南相馬市の沿岸部に東芝が国内最大規模の太陽光発電所を建設することになり、南相馬市と協定書を取り交わした。発電量は一般家庭3万世帯分の使用量にあたる。建設と運営は東芝が今秋を目処に出資を募り設立する会社が行う(NHK)。NTTも太陽光発電事業に参入する。グループの遊休地などを利用して2014年度までに大規模太陽光発電所を約20カ所稼働させる。総発電能力は6万キロワット以上で単独企業としては国内最大級(テレ東)。こうした中、政府は新潟県の佐渡島に近い沖合いに、石油や天然ガスが大量に埋蔵されている可能性があるとして来年4月から調査を行うと発表した。埋蔵地域は100平方キロメートル以上に渡り、国内では過去最大級、中東エリアでは中クラス規模に相当する可能性があり、順調に進めば2020年にも商業化したい意向だという(TBS)。また、日本の年間消費量の220倍以上と推定されるレアアースが小笠原諸島南鳥島近海の海底にあることがわかった。(日テレ)。 

 

4.【震災の影響・復興の動き】

財務省が発表した5月の貿易統計によると輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は赤字となった。原発事故の影響で火力発電用の天然ガスや原油の輸入が増えたため。貿易赤字は3カ月連続となる。輸出は東日本大震災で落ち込んだ1年前に比べ米国向けの自動車や関連部品を中心に1割増えた(テレ東)。こうした中、東京・六本木で被災農家とアパレル関連企業61社が協力しコットンによる震災復興を目指す販売イベントが行われた。塩害に強い綿で農地の再生を促しとれた綿は事業展開する。台風の冠水被害などを乗り越えた約80kgの綿が収穫された。イベント会場にはアパレルや雑貨製品30種類あまりが販売されファッションショーも開かれた。商品の収益はすべて被災地支援となる(テレ朝)。

 

●注目点

「ルネサスに“1000億円支援”・国内の19工場半減へ…」

績が悪化している半導体大手・ルネサスエレクトロニクスに対する総額1000億円規模の支援策が最終調整に入ったことがわかった。支援策は大株主のNEC日立三菱電機が合計500億円を融資、銀行団が融資枠を500億円に設定。ルネサスエレクトロニクスは、国内19の半導体工場を半分程度に減らすほか、最大1万4000人のリストラを検討(TBS)。難航していた資金支援の枠組みが固まったことで、最大1万4000人の従業員削減と工場の半減を柱とする再建策が動き出した(テレ東)。

 

●新潮流                                                                                              

「相次ぐ提携・競争力強化図る日本企業」

ヨタ自動車は、ドイツ・BMWとの提携を強化し、ハイブリッドや燃料電池車、スポーツカーの技術を共同開発を発表。開発コスト抑制や競争力向上を目指す。トヨタはハイブリッド車や燃料電池の技術をBMWに提供し、BMWからは車体軽量化の技術を受け、スポーツカーも共同開発する(テレ朝)。パナソニックソニーは有機ELテレビの開発で提携する。先行する韓国メーカーに対抗する為、来年中に有機ELテレビに使うパネルの量産化技術の確立を目指す。両社は赤字が続いたテレビ事業の建て直しを迫られていて、今後は生産面での協力についても検討を進めるとしている。経営再建中のオリンパスは提携先を模索してきたが、ソニーから500億円程度の出資を受け主力の内視鏡事業を中心にソニーと資本、事業提携することで最終調整。テレビ事業不振などによる赤字からの脱却を図るソニーは、オリンパスとの提携を通じ医療分野を強化する狙い。シャープは台湾のホンハイグループと中国市場向けのスマートフォン事業を行うと発表。市場の拡大が期待される中国で、スマートフォンを共同生産し、来年度から商品展開の方針。ホンハイとの提携拡大でシャープは世界での競争力強化を目指す。サントリーHDは中国の青島ビールと提携。上海と江蘇省に合弁会社を設立することで合意した。アサヒグループHDがすでに青島ビールの株式20%を取得している。中国市場での日本ビールメーカーの競争が激化する見込み。(日テレ)。製紙業界4位の大王製紙と5位の北越紀州製紙も、資本提携することで合意。王子製紙、日本製紙グループにつぐ業界3位の企業連合が誕生する(テレ東)。

 

6月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・ロイヤルホールディングス、第3位・グーグル」

月はCM価値換算39億7000万円で「ダイバーシティ東京プラザ」「東京ミッドタウンのイベント」「三井アウトレット木更津」等の話題により、三井不動産が第1位に輝いた。第2位は「ロイヤルホストの美味しさの秘密を徹底調査!・マリリンモンローが食したといわれる逸品&夏のオススメスイーツをご紹介」などの報道でロイヤルホールディングスが獲得した。第3位は「Google・独自開発メガネ型タブレット型端末発表」などの報道でグーグルが輝いた。第4位は「トヨタとBMW・提携拡大」「新興国で現地生産拡大・国内車8社・生産過去最高」などの報道でトヨタ自動車となった。第5位は「東京スカイツリー・開業1ヵ月で581万人」などの報道で東武鉄道になった。第6位は「渋谷ヒカリエ・新スポットの行列グルメ」などの報道で東京急行電鉄、第7位は「モスバーガーとスッキリがコラボした塩糀バーガー雅」などの報道でモスフードサービスになった。第8位は「創業59年の老舗食品メーカー・永谷園で帰れま10」などの報道で永谷園、第9位は「JAL・9月にも再上場」「JAL奇跡の復活・全貌!」などの報道で日本航空、第10位は「イオン・テスコ日本法人株式50%取得へ」などの報道でイオンが獲得した。

 

6月の人物ランキング

「第1位・東京電力・勝俣恒久会長、第2位・関西電力・八木誠社長、第3位・東京電力・下河辺和彦新会長

第一位:東京電力・勝俣恒久会長72件(東京電力の株主総会など)、第二位:関西電力・八木誠社長29件(大荒れの電力総会・関電総会に橋下市長出席など)、第三位:東京電力・下河辺和彦新会長21件(東電新経営陣・福島へなど)、第四位:日産自動車・カルロスゴーン20件(ゴーン社長・報酬9億8700万円など)、第五位:日本航空・稲盛和夫名誉会長19件(JAL生き残り戦略、再上場の話題など)、第六位:東京電力・広瀬直己社長18件(東電新経営陣・福島へなど)、第七位:トヨタ自動車・豊田章男社長17件(トヨタとBMW・提携など)、第八位:ソフトバンク・孫正義社長16件(株主総会での演説など)、第九位:スカイマーク・西久保愼一社長11件(苦情は受け付けませんなど)、第十位:関西電力・岩根茂樹副社長10件(大荒れの関電総会など)。

 

●テレビの窓

「日産自動車・カルロスゴーン社長の報酬は?」

産自動車の株主総会で、ゴーン社長が自ら明らかにした昨年度の報酬は9億8700万円。これは国内の上場企業では最高額とみられ、トヨタ自動車が昨年度27人の取締役に支払った報酬の総額を1人で上回った事になる。この報酬についてゴーン社長は業績に加えほかの世界的企業の役員報酬と比較して決めたと述べた(NHK)。

 

JCC株式会社

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