テレビ報道に見る産業・経済月報(平成24年9月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成24年9月)

「世界経済減速の中、尖閣国有化で日中関係激震・日本企業チャイナリスクにどう対処?」

 

今月の特徴は、1.日中関係悪化の影響、2.円高・株安の動き、3.エネルギー関連の動きとなった。

 

1. 日中関係悪化の影響

 

【反日デモ・狙い撃ちにされた日本企業】

日本政府の尖閣国有化に反発し、中国全土100以上の都市で巻き起こった反日デモは9月18日で収束した(フジ)。中国・山東省青島市ではトヨタホンダの販売店がデモ隊に放火され、商品の車を含め全焼、パナソニック三菱自動車スズキキヤノンなどと共に工場休業に追い込まれた。また、ミニストップは40店舗、セブンイレブンは約200店舗、ローソンは70店舗以上、ユニクロは約40店舗休業となった(日テレ)。今回のデモで25億円という最大級の被害を受けた青島イオンではエスカレーターなど全ての設備が破壊され、廃墟となった建物の中で従業員などが片付けに追われた。また、商品のほとんどが略奪にあった大手百貨店・平和堂は被害額を数十億円と算定している。(TBS)。中国市場への依存を強める日本企業が危機感を募らせているのが、日本製品のボイコットだ(NHK)。さらに、中国・北京市の税関当局は日系の物流企業に対し、日本から北京国際空港に到着した航空貨物の通関検査を強化すると通告してきたという(テレ東)。観光にも影響は及んでいる。全日空では11月末までの中国との定期便に4万席のキャンセルが出ている。今年2月に就航したばかりの長崎と上海を結ぶ旅客船は、中国人団体客の利用が見込めないとして、来月からの運休を決めた。上海証券取引所では一時3年8カ月ぶりの安値をつけた(NHK)。

 

【損保各社の保険金支払額が最大で数百億円】

日本損害保険協会の会長は、今回の反日デモで日系企業が受けた被害に対する損保各社の保険金支払額が最大で数百億円に上るとの見通しを示した(フジ)。日本政府は、賠償責任は中国政府にあると強調しているが、中国政府は、日本側が責任を負うべきだとお互いに一歩も譲らない(テレ朝)。いわゆるチャイナリスクから日本では脱中国の流れが加速している(TBS)。今までにない経済リスクを抱えた日本企業は“チャイナプラスワン”と呼ぶ中国の他に大きな生産拠点を持つリスク回避の手法に注目している(フジ)。

 

2.円高・株安の動き

米国がQE3を発表、19日、日銀も10兆円の追加緩和に踏み入る中、円高基調が続いている。日中関係の冷え込み受け日経平均株価は9000円割れ。25日には1ドル77円をつけ円高が止まらない(テレ東)。一方、今年7月の日本の経常収支は黒字幅が17ヶ月連続で前年同月比で縮小した。このうち貿易収支は3736億円の赤字と2ヶ月ぶりに赤字に転じた。信用不安に伴いヨーロッパ向けの輸出が大幅に減った事などが響いている。一方、所得収支は黒字になったが、これらを足し合わせた経常収支は6254億円の黒字となった(NHK)。

 

3.エネルギー関連の動き

政府は2030年代に原発の稼働がゼロになるよう取り組むことを決めていたが、経済界から強い異論が出たため19日、原発ゼロを盛り込んだ文書そのものを閣議決定の対象とはしないこととした。一方、東日本大震災などで中断されていた青森県大間町・大間原発。全国の電力会社に電力を供給する電源開発は、政府が着工済みの原発の建設継続を容認したことから年内にも工事を再開する方針を決めた。中断されていた原発の建設が再開されれば、震災後初めてとなる(NHK)。

 

●注目点

「ルネサスエレクトロニクスをオールジャパンで支援」

業績不振が続くルネサスエレクトロニクスに対し、トヨタ自動車パナソニックなど日本の大手メーカーと政府系ファンド・産業革新機構が共同出資しオールジャパンで経営を支援する案が検討されていることがわかった。ルネサスの再建策をめぐっては米国の投資ファンドが先月1000億円を出資する提案をしているが、今回の案はこれに対抗しルネサスの半導体の買い手である自動車メーカーなどが半導体の安定的な調達を確保する狙いがあるとみられる(フジ)。ルネサスへの出資は政府系ファンドの産業革新機構が中心となって、日本の大手メーカーなどからも広く出資を求める方向で検討されているが、ルネサスが年内にも実施する増資を産業革新機構と出資企業が引き受け、1000億円規模を共同で出資する方針。実現すれば株式の過半数を取得して買収する見通し。ルネサスを巡っては、先月、米国の投資ファンドKKR=コールバーグクラビスロバーツが1000億円規模の出資を提案していて、今回の対抗策で動向が注目される(TBS)。ルネサスは、山口県など国内8工場の閉鎖や売却を余儀なくされているが、半導体は海外メーカーとの競争にさらされ窮地に陥っている。富士通は鹿児島県などの3つの半導体工場を売却する方針で、工場のある鹿児島県薩摩川内市では対策本部を設置した。雇用の受け皿として地方の経済を支えてきた製造業の地盤沈下が止まらない勢いになっている。シャープも主力のテレビと液晶パネルの不振で人員削減の方針で、シャープ幹部は28日、米国や欧州の太陽電池事業についても、「市場が縮小傾向だ」として撤退も視野に検討していることを明らかにした(テレ東)。

 

●新潮流

「内視鏡開発で新会社設立も・オリンパスがソニーと資本提携」

額の損失隠し事件で財務内容が悪化していたオリンパスソニーと資本提携することで合意。オリンパスは旧経営陣による粉飾決算で自己資本比率が6月末に2.2%まで低下。500億円の第三者割当増資をソニーが引き受け、約10%保有の筆頭株主になる。オリンパスが得意な内視鏡を中心とした医療分野でも提携、共同出資会社を設立する方針。不振のデジタルカメラ事業もソニーと共同調達で立て直しを図る方針(テレ朝)。 

 

9月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・アップルジャパン、第2位・東日本旅客鉄道、第3位・日本航空」

月はアップルジャパンが「iPhone5販売台数・3日間で500万台突破」など、「iPhone5」発売の報道等で、CM価値換算47億7100万円で第1位に輝いた。第2位は、「東京駅を駅から街へ・丸の内駅舎リニューアルの中身」「いよいよオープン”100年前”復元の東京駅」などの報道で、東日本旅客鉄道が獲得した。第3位は、「日本航空スピード再上場・コストカットでV字回復」などの報道で、日本航空が輝いた。第4位は、「ビックロ開業に4000人!家電×衣料コラボの狙い」などの報道でファーストリテイリングとなった。第5位は、「ディズニーランド・シンデレラ城で結婚式を」などの報道でオリエンタルランド、第6位は、「ユニークコラボ誕生・ビックカメラ+ユニクロ=ビックロ」などの報道でビックカメラ、第7位は、「No.1インスタント食品会社SP」などの報道で日清食品ホ-ルディングスになった。第8位は、「美食アカデミー・ココス編・秋の新作メニュー登場!」などの報道で、ココスジャパン、第9位は、「オリンパスとソニー・資本提携で最終調整」などの報道でソニー、第10位は、「人気ファミレスのメニュー本当に美味しい順ランキング・ロイヤルホスト」などの報道でロイヤルホールディングスが獲得した。

 

●9月の人物ランキング

「第1位・ソフトバンク・孫正義社長、第2位・ユニクロ・柳井正社長、第3位・シャープ・奥田隆司社長」

第1位:ソフトバンク・孫正義社長52件(次の社長を探せ・リーダー育成学校など)、第2位:ユニクロ・柳井正社長34件(ユニクロとビックカメラ・コラボで新店舗オープンなど)、第3位:シャープ・奥田隆司社長26件(台湾企業がシャープに出資条件見直しを要求など)、第4位:青島イオン・折口史明社長21件(反日デモ過去最大・日系企業狙い撃ちなど)、第5位:ホンハイ精密工業・郭台銘会長20件(シャープと台湾ホンハイ・合意持越しなど)、第6位:日本航空・植木義晴社長18件(JAL2年7カ月ぶり再上場など)、第7位:ビックカメラ・宮嶋宏幸社長16件(家電と衣料がコラボ・新宿に”ビックロ”誕生など)、第8位:KDDI・田中孝司社長6件(iPhone5・販売開始・銀座で50人が行列など)、第9位:トヨタ・豊田章男社長5件(反日デモ後の中国市場での販売に懸念など)、第10位:ソニー・平井一夫社長3件(オリンパス・ソニーと提携、日本のテレビメーカー・インドで巻き返しなど)。

 

●テレビの窓

「震災ビッグデータ分析し防災対策に」

日本大震災直後に被災地でツイッターが活用されたことは記憶に新しいが、東日本大震災では様々な手段で膨大な情報が生み出された。ネット上でのやりとりや、カーナビでの道路の通行状況のデータ、GPS機能つき携帯電話から発信された位置情報など膨大な量に上るこうした情報が震災ビッグデータだ。このデータをグーグルやツイッター、JCC、大学の研究者などが分析する事になった。今後の防災対策に役立てるのが狙いだ。10月下旬、途中経過を公表するとしている。

 

 

JCC株式会社

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