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テレビ報道に見る産業・経済月報
(令和3年2月)

「GDP・去年10-12月・年率プラス12.7%・2期連続のプラス」

今月の特徴は1.GDP・去年10-12月・年率+12.7%、2.6府県で緊急事態宣言が解除、3.春闘の動向、4.ワクチンの動向、5.エネルギーの動向となった。

                                                                                                

1.GDP・去年10-12月・年率プラス12.7%

内閣府が発表した去年10月から12月までのGDPの速報値によると、物価の変動を除いた実質の伸び率は前の3か月と比べてプラス3.0%となった。これが1年間続いた場合の年率に換算するとプラス12.7%で、2期連続のプラスとなったが、前の期にあたる去年7月から9月までのプラス22.7%と比べると伸び率は鈍化した(NHK)。

 

2.6府県で緊急事態宣言が解除

6府県で緊急事態宣言が解除となる。政府は、感染が再拡大(リバウンド)しないように、段階的に制限を緩和していく方針。現在、飲食店の時短営業は午後8時までとしているが、宣言解除後は午後9時までとなる。協力金は1日6万円から4万円の支援となり最終的には知事が時短要請の時間や期間などを決定する。イベントの人数制限は宣言中の上限5000人が解除後1か月間は上限1万人となる。4月11日をめどに、さらに人数を緩和する。一方、首都圏の1都3県は3月7日を期限に解除することを目指す方針(3/3日テレ:緊急事態宣言解除について、1都3県は政府に延長を要請する方向で調整中)(日テレ)。

 

3.春闘の動向

春闘を控え、菅総理はコロナ禍でも好業績の企業があるとして、「好循環を取り戻し、さらに強化する必要がある」「業績を反映し、賃上げに応えていただきたい」と経済界に賃上げを求めていく姿勢を示した(TBS)。今年の春闘の賃上げの見通しについて、民間の研究機関・労務行政研究所が労働組合や企業などにアンケート調査をしたところ、賃上げ率は2013年以来となる2%を下回る予測となったことがわかった。企業の担当者105人に聞いたところ、ベースアップに相当する賃上げを実施しない予定が61.9%(NHK)。

 

4.ワクチンの動向

日本へのファイザー製新型コロナウイルスワクチン供給スケジュールは3月1日~450箱、8日~850箱、15日~360箱、22日~264箱、29日~351箱、計2275箱となっている。一般人への想定スケジュールについては「まだ何とも言えない。まずは高齢者への優先接種を終えたい。アストラゼネカの承認がいつになるか見通せるようになったら(考える)」としている(フジ)。

 

5.エネルギーの動向

今年の夏にも策定される次期エネルギー基本計画をめぐり経済界が日本政府に原子力発電の推進を明記するよう促している。総合資源エネルギー調査会の分科会では脱炭素社会の実現に向けて二酸化炭素をほぼ排出しない原子力発電所の新たな増設方針を明確にして再稼働の推進へ国が前面に立つよう求める声が上がった。原発には慎重な意見も根強く、分科会では全国消費者団体連絡会の理事が原発の新増設に反対を表明した(テレ東)。

 

 

●新潮流

「未来型都市・トヨタ自動車が最先端のまちづくり」

ヨタ自動車が富士山のふもとで開発を進める未来型都市の工事が23日から始まった。工場跡地を中心にした敷地の広さは、東京ドームの約15倍。豊田章男社長や、静岡県・川勝知事らが工事の安全を祈願した。これまでに明らかになっている未来型都市の構想では地上の道路は、完全自動運転の車が走る専用道路と、歩行者専用の道路など3種類に分ける方針。また、地下道を物を運ぶ物流専用とし、安全性や効率を検証する。都市にははじめ、高齢者や発明家など360人が住むという想定で、住居ではセンサーが集めた住人の健康面のデータをAIがチェックしたり、ロボットが生活を手助けしたりする。高度な通信網で、車やインフラ、住宅がつながる仕組みを取り入れる。トヨタは、具体的な完成時期は定めず、開発と実験を繰り返すとしている。自動車産業は、自動運転などのサービスが次々生まれ、IT企業も参入するなど100年に1度の変革期といわれる。メーカーにとっては、通信技術などを組み合わせながら、車を軸にどんなサービスを提供できるのかが鍵となる。次世代のまちづくり「スマートシティー」の事業は、世界各国で行われ、中国のアリババといった、大手IT企業も参入している。トヨタは、今回のプロジェクトで、交通、通信インフラや、エネルギーなどの分野で、新たなサービスや技術を開発し、自動車メーカーの枠を超えた新たな事業として、拡大していきたい考え(NHK)。

 

 

●注目点

「LNG調達・高まる中国の存在感」

力発電の燃料となるLNG(液化天然ガス)は、二酸化炭素の排出量が石炭に比べると半分ほどで、環境への負荷が比較的少ないとされている。世界的に地球温暖化への対策が求められる中、日本でも原発事故後の重要な電源として依存度を高めてきた。ところがそのLNGの確保が難しくなっている。関西電力は日本以外に向かっているLNG船について、買い主に交渉し一部回してもらえないかのシミュレーションをしている。先月も別の国に向かう船を日本に回してもらったという。関西電力は「当社で可能な限り調達力を上げていく努力を続けていく」としている。世界で最も多くのLNGを輸入している日本に急速に追いつこうとしているのが中国。中国は、温室効果ガスの世界最大の排出国で石炭から天然ガスに転換することで排出量を減らそうとしている。去年のLNGの輸入は、5年前と比べて3.4倍に増えていて、早ければことしにも日本を抜いて最大の輸入国になるともいわれている。今回の事態で日本はエネルギーのぜい弱性を突きつけられた。国際環境経済研究所・竹内純子理事は「“一本足打法”は日本のように島国、国内のエネルギー資源がない国において、いちばんやってはいけないこと。リスクヘッジをしながらエネルギー転換を進めていくことが重要になる」と指摘した(NHK)。 

 

 

2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・すかいらーくホールディングス、第2位・日清食品ホールディングス、第3位・東急ハンズ」

2月度のテレビ報道CM価値換算ランキングでは、「すかいらーくホールディングス」が42億2800万円を獲得し、第1位に輝いた。具体的には、「宅配とデリバリー」の新業態をスタートさせたことや、「ガスト杉並和泉店」などにグループ内のから揚げ専門店「から好し」を併設する等の新しいビジネス展開を行った事が評価され、2020年4-12月期の最終赤字172億円をものともせず第1位となった。第2位は「打倒!王者・メーカーが火花を散らしたカップ麺戦争」などの報道で「日清食品ホールディングス」となった。第3位は「東急ハンズ・文具祭り開催」などの報道で「東急ハンズ」、第4位は「ドンキが北米スーパー買収」などの報道で「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」、第5位は「“ハンドソープ”や“シャンプー”ナチュラルローソン・量り売り」などの報道で「ローソン」、第6位は「3COINS食品なぜ人気?ご飯に合うおかず50品以上」などの報道で「パルグループホールディングス」、第7位は「冷凍ミートソースパスタ・ひたすら試してランキング」などの報道で「日清製粉グループ」、第8位は「大阪王将の冷凍餃子の製造工場に潜入」などの報道で「イートアンドホールディングス」となった。第9位は「コロナ知られざる作戦・武漢脱出緊迫の舞台裏」などの報道で「東京空港事務所」、第10位は「トヨタ未来都市にアップル参入?業界激震」などの報道で「トヨタ自動車」となった。

 

 

2月の人物ランキング

「第1位・キヤノン・御手洗冨士夫代表取締役会長兼社長、第2位・トヨタ自動車・豊田章男社長、第3位・JR東日本・深澤祐二社長」

第1位・キヤノン・御手洗冨士夫代表取締役会長兼社長131件(東京五輪パラ組織委員会・森会長発言巡り・12日に臨時会合開催へなど)、第2位・トヨタ自動車・豊田章男社長45件(トヨタ純利益・1兆9000億円・急回復で再び上方修正など)、第3位・JR東日本・深澤祐二社長20件(五輪スポンサー「苦言」続出など)、第4位・楽天・三木谷浩史社長18件(楽天モバイル…新料金を発表など)、第5位・スズキ・鈴木修会長15件(スズキ鈴木修会長・退任へなど)、第6位・ソフトバンクグループ・孫正義会長兼社長13件(世界的な株高が追い風・ソフトバンクグループ・純利益3兆円超など)、第7位・東北新社・二宮清隆社長13件(東北新社社長が辞任発表など)、第8位・小林化工・小林広幸社長10件(睡眠導入剤混入で116日間業務停止命令など)、第9位・ロッキングホース・森部好樹代表取締役社長8件(若手起業家6名がプレゼン対決など)、第10位・HACCI・水谷仁美代表取締役社長8件(美容業界の成長企業HACCIハチミツで美肌を届けるためになど)。

 

 

●テレビの窓

「専門家も注目・ワクチン最新情報」

イングランド公衆衛生庁は、ファイザー製のワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)について「発症、重症化だけでなく、感染そのものを防ぐ高い効果が認められた」とする初期データの分析結果を発表した。また英国のケンブリッジ大学でも「感染リスクを減らす可能性がある」と発表した。この発表はコロナの蔓延状態をワクチン接種率の向上によって制御出来る可能性があることを示唆している。一方、FDA(米国食品医薬品局)が27日、緊急使用を許可した製薬大手ジョンソンエンドジョンソンのワクチン(ウイルスベクターワクチン)は1回で接種が完了し、2~8℃の冷蔵庫で3カ月間保管できることから、接種ペースの加速が期待されるワクチンである。海外ではワクチンパスポートなど接種証明を経済活動に活用しようという動きがあるが、河野ワクチン担当大臣は「国内では接種証明を使うことは今のところ想定していない」と述べた(フジ)。 

 

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