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テレビ報道に見る産業・経済月報
(令和6年2月)

「日経平均・3万9233円、史上最高値更新」「名目GDP・ドイツに抜かれ4位に」

今月の特徴は1.日経平均・最高値更新、2.名目GDP・ドイツに抜かれ4位に、3.外国人観光客の動向、4.ウクライナ経済復興支援会議、5.女川原発・新たな貯蔵施設設置方針となった。

 

1.日経平均・最高値更新

26日の日経平均株価は一時3万9300円台を付け、終値は3万9233円、先週末に続き2営業日連続で史上最高値を更新した。大和証券エクイティ営業部・沖宗和弘主事は、「1989年当時と今の株高は中身が全く違う」と話した上で、「日本企業の稼ぐ力が高まっている」と強調した。実際、日本の全産業の収益力はおよそ18兆円だった1989年度に比べ、昨年度はおよそ74兆円と4倍以上に拡大した。企業業績や経済の実体以上に株価が過大評価されていた当時とは違い、稼ぐ力を身につけた業績の裏付けが今の株高を支えている。あとは好調な業績を原資に、企業が物価高を上回る賃上げを実現できるかが最大の焦点となる(TBS)。

 

2.名目GDP・ドイツに抜かれ4位に

内閣府が発表したGDP(国内総生産)。名目GDPランキングは2009年、米国に次いで2位だったが、翌年に中国に追い越され3位に。2023年はドイツにも追い越され4位になった。2026年にはインドにも追い越される見込みで実質GDPの伸び率は-0.1%(日テレ)。

 

3.外国人観光客の動向

今、外資系ホテルの進出が相次いでいる。ターゲットは海外から訪れる富裕層。外国人観光客の急増でビジネスホテルなどの宿泊費も高騰している。熊本・阿蘇の道の駅は今、多くの外国人観光客で賑わっている。道の駅のすぐ隣には去年11月、外資系ホテルがオープン。ホテル内にレストランはなく、宿泊客は道の駅や近くの飲食店を利用するという。日本の地方に関心がある外国人のインバウンド需要をさらに広げていくのが狙いだという。この外資系ホテルは4年間で29か所の道の駅隣接型ホテルをオープンさせる予定。外資系ホテル進出ラッシュの背景には国の政策がある。国は2030年までに外国人観光客を今の倍の6000万人に増やすという目標を掲げており、建物の規制を緩和するなど、新たなホテル建設を後押ししている(NHK)。

 

4.ウクライナ経済復興支援会議

ウクライナの経済復興に向けた会議が東京で開かれ、日本が長期的に支援する方針を盛り込んだ共同声明を発表した。今回の会議には両国の政府や企業の関係者、およそ300人が出席した。会議では日本によるウクライナ経済への長期的支援の方針が明記された共同声明が採択され、日本企業による投資を促進する新たな租税条約を結ぶこと、ウクライナ企業関係者向けの商用ビザの発給要件の緩和、首都キーウにJETRO=日本貿易振興機構の事務所を開設することなどが盛り込まれた。会議に出席したウクライナのシュミハリ首相は「両国間の協力の新しいスタートを切る日だ」と述べ、岸田総理にウクライナへの再訪問を要請した(テレ東)。

 

5.女川原発・新たな貯蔵施設設置方針

今年、9月ごろの再稼働を目指す宮城県の女川原子力発電所2号機。東北電力・青木宏昭原子力部長が宮城県県庁を訪れ、使用済み核燃料を保管するプールがひっ迫する可能性があるとして、新たな貯蔵施設を原発の敷地内に設ける方針を伝えた。放射線を遮る金属容器の中で核燃料を空気で冷やす乾式貯蔵と呼ばれる方式で、2028年の運用開始を目指すとしている(NHK)。

 

 

●新潮流

「日本初の熊本工場を開所・政府・台湾TSMCに1.2兆円支援」

TSMCが24日、熊本県に工場を開いた。その横では高速道路建設工事が大急ぎで行われていた。立て看板には「経済の道、早期完成を」の文字がある。開所式には歴代の経産大臣に加えて、トヨタ自動車ソニーグループのトップらも集結した。トヨタ、ソニー、アップルも実はTSMCの半導体頼み。TSMC創業者で半導体のレジェンドとも呼ばれている張忠謀氏は「日本における半導体製造のルネサンスの始まりになることを信じている」と述べた。岸田首相はビデオメッセージで「日本が重要な拠点としてしっかりと位置づけられることを歓迎する。2号棟についても支援を決定した」と述べ、巨額支援を表明した。TSMCへの支援について、第一工場は4760億円、第二工場は7320億円、総額最大1.2兆円規模となっている。国民負担は1人あたり1万円。経産省・野原局長は「半導体が不足して自動車の生産も止まった。電子製品で半導体を使っていないものはほとんどない」と述べ、半導体が不足すると、各国が自国への供給を優先するため、国内に生産拠点を誘致する必要があると強調した。斎藤経済産業大臣は「今回の支援は私は必要だと思っている。日本の半導体産業の復活の端緒としたい」と述べた(TBS)。

 

 

●注目点

「経済安全保障『セキュリティークリアランス』制度・法案を決定」

済安全保障上、重要な情報にアクセスできる人を国が信頼性を確認した人に限定する「セキュリティークリアランス」制度の創設に向けた法案が27日、閣議決定された。新たな法案はサイバー攻撃に関する情報物資の供給網・サプライチェーンのぜい弱性に関する情報など、漏えいすると日本の安全保障に支障を与えるおそれがあるものを「重要経済安保情報」に指定し、これらにアクセスできる者を民間企業の従業員も含め、国が信頼性を確認した人に限定するとしている。確認にあたっては本人の同意を前提に国が家族や同居人の氏名や国籍などのほか、犯罪歴や薬物や飲酒に関する情報、経済的な状況などを調査する。重要情報を漏えいした場合は5年以下の拘禁刑や500万円以下の罰金が科される。政府は今の通常国会での成立を目指しているが、「セキュリティークリアランス」制度を巡っては、経済界から企業の情報管理に対する信頼性の向上につながると期待する声がある一方で、プライバシーへの十分な配慮が必要だという指摘も出ている(NHK)。 

 

 

●2月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・ローソン、第2位・パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス、第3位・宇宙航空研究開発機構」

2024年2月度のテレビ報道CM価値換算ランキングの第1位は、45億4805万円で「ローソン」となった。具体的には、「KDDI・ローソンにTOB“未来のコンビニ”の姿は…」「ローソン・今年はヤバすぎ!盛りすぎチャレンジ開催記念イベント」「成城石井の社長に密着・自家製商品を作る工場に潜入!」等によるものであった。第2位は「8万点超の品ぞろえ・MEGAドンキ」等の報道で、「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」となった。第3位は「H3・1年前の雪辱を果たす・ロケット・打ち上げ成功」などの報道で「宇宙航空研究開発機構」。第4位は「週末1日3万人・アウトレットパーク木更津・日本一つけ麺・大行列天丼・最高級スイーツ」などの報道で、「三井不動産」となった。第5位は「伊藤忠・男性育休を必須に」などの報道で「伊藤忠商事」、第6位は「業務スーパーでウワサのお客さまとのコンタクトに成功!」などの報道で「神戸物産」、第7位は「東京ディズニーシー・新エリアの“映像公開”」などの報道で「オリエンタルランド」、第8位は「東京ソラマチグルメ厳選・47店舗全部見せ」などの報道で、「東武鉄道」となった。第9位は「水素燃料電車『HYBARI』・2030年営業運転へ試走」などの報道で「東日本旅客鉄道」、第10位は「ユニクロ店舗で古着販売」などの報道で「ファーストリテイリング」となった。

 

 

●2月の人物ランキング

「第1位・日本銀行・植田和男総裁、第2位・アキダイ・秋葉弘道社長、第3位・メタ・マークザッカーバーグCEO」

第1位・日本銀行・植田和男総裁43件(G20財務相中央銀行総裁会議・植田総裁ら出席など)、第2位・アキダイ・秋葉弘道社長38件(中小企業が直面する価格転嫁など)、第3位・メタ・マークザッカーバーグCEO37件(岸田首相とザッカーバーグCEO会談など)、第4位・日本経団連・十倉雅和会長33件(経団連会長・夫婦別姓早期実現求めるなど)、第5位・ダイハツ工業・奥平総一郎社長32件(ダイハツ・経営体制を刷新へなど)、第6位・KDDI・高橋誠社長28件(KDDI・ローソンにTOB未来のコンビニの姿はなど)、第7位・トヨタ自動車・佐藤恒治社長24件(トヨタグループ変われる?など)、第8位・ローソン・竹増貞信社長23件(コンビニの持続可能な新サービスなど)、第9位・三菱商事・中西勝也社長11件(三菱商事と共同経営へ・KDDI・ローソン株を公開買い付けなど)、第10位・大和証券グループ本社・中田誠司社長10件(2月13日NISAの日証券会社社長らが対談など)。

 

●テレビの窓

「文章から動画を生む生成AIも登場」

hatGPTを開発した米国のOpenAI社が現地時間15日、新たな生成AI「Sora」を世界に向けて発表した。「革ジャンを着たスタイリッシュな女性が、ネオンの看板が埋め尽くす東京の通りを歩く」などという文章を基に作成した映像「夜の東京」。雪の中で遊ぶゴールデンレトリバーの子犬たち。これは「アタマが雪から飛び出し、雪まみれに」との文字情報だけを基にAIが生成したもの。さらに「様々な画風の美しい作品」との文字を基に生成された展覧会の映像も公開された。現段階ではSoraの安全性が確認できていないことからOpenAIは商品化はしていないとしているが、今後専門家とともに、フェイク情報や差別的な表現への対策を進めるとしている。東京大学大学院・松尾豊教授は「ここまでの技術の高さに衝撃を受けた。今までの動画生成AIとは異なり、ある程度、時間の概念と相互性の概念を学習し、再現している」「今後、真実性の担保が必要になってくる」としている(テレ朝)。こうした中、「生成AI」の活用により、仕事や働き方にも変化が訪れている。飲料大手・伊藤園が去年リニューアルした商品パッケージのデザイン原案は生成AI。CMに起用された女性も生成AIが作った実在しない人だという。大手食品メーカー・日清食品では独自の生成AI=「NISSIN AI-chat」を会議中に活用しているが、生成AIが提案したのは“夏の新しい食習慣を提案し新しいトレンドを生み出す”ことなどで、さらに具体案も提示している(日テレ)。

 

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