テレビ報道に見る産業・経済月報(平成28年3月)

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テレビ報道に見る産業・経済月報
(平成28年3月)

「日銀短観・2期ぶりに悪化(4/1)」「過去最大96兆円超の2016年度予算成立」

 

今月の特徴は1.景気判断が悪化・日銀短観、2.2016年度予算成立、3.春闘の動き、4.米国利上げの動き、5.消費増税延期か、6.エネルギー関連の動きとなった。

                                                                                                

1.景気判断が悪化・日銀短観

日銀が発表した短観(企業短期経済観測調査)で代表的な指標となっている大企業の製造業の景気判断はプラス6ポイントと2期四半期ぶりに悪化した。年明けから進んだ円高による収益悪化への懸念が企業の景気判断に悪影響を及ぼした形(4/1NHK)。15日、日銀は金融政策決定会合を開き、金融政策の現状維持を決めた。黒田総裁は、金利面では効果が出ているとして、政策の効果に自信を示した。しかし中国など新興国経済の減速で輸出や生産が伸び悩んでいることなどから、景気判断を「基調としては緩やかな回復を続けている」に約2年ぶりに下方修正した(テレ東)。一方で黒田総裁は23日の参議院の財政金融委員会で、来年4月に消費税率を10%に引き上げた場合、再来年度(平成29年度)の経済成長率は0.7ポイント程度押し下げるとの見通しを示した(NHK)。

 

2.2016年度予算成立

一般会計の総額が96兆7218億円に上る2016年度予算が与党などの賛成多数で成立した。防衛費は5兆円を超え、社会保障費は31兆9738億円で過去最大となる。安倍総理の掲げる1億総活躍社会を実現するためにおよそ2憶4000億円を計上した(テレ東)。1億総活躍社会の中には相当数の女性の活躍が見込まれているが、来月から企業などの女性の登用を促す「女性活躍推進法」が施行されることになる。女性が働きやすい環境の整備が求められる中、今月、内閣府が革新的な研究を進める企業5社(江崎グリコ凸版印刷キリンコクヨ東海光学)を表彰した(NHK)。 

 

3.春闘の動き

自動車や電機など多くの企業で3年連続の賃上げは実現したが、水準は去年を下回った。トヨタ日産日立など、各社とも定期昇給は確保し、3年連続のベースアップを確保したが、上げ幅は去年と一昨年を下回る水準。新日鉄住金など鉄鋼4社は要求を下回る水準となった。メガバンクや生命保険では、マイナス金利が業績に悪影響を与えかねないとして、ベアを断念する動きも。キリンビールは15年ぶりのベアとなり、全日空大林組は、去年を上回る水準となった。今年の春闘は、日本経済を再び回復軌道にのせる鍵として注目されてきたが、中国経済の低迷、世界的金融市場の混乱による円高、消費の低迷などの影響を受けた形。一方で今年の春闘では、自動車や電機などに関連する業界で中小企業の賃金引き上げ額が初めて大企業を上回った(労働組合まとめ)。自動車・電機・鉄鋼メーカーなどで作る金属労協が3月末までの春闘の交渉結果をまとめた所、ベースアップやそれに相当する賃上げの額は865組合の平均で月額1249円(前年同時期比663円減)だった。このうち、組合員が1000人以上の大企業の賃上げ額は1122円だったのに対して、300人未満の中小企業は1281円と大企業を上回った。金属労協によると、「中小企業の賃上げ額が大企業を上回るのは平成7年以降初めて」とのことだという。金属労協は「これまでの春闘は大手が賃上げをリードして中小企業が続いていたが、それとは異なる傾向だ。労働組合側だけでなく企業側も底上げの重要性を認識した結果ではないか」と話している(4/4NHK)。 

 

4.米国利上げの動き

米国FRBが3月の利上げを見送り、今後利上げのペースを緩めることになりそうだ。FOMCの声明文によると、米国経済は緩やかなペースで改善していると上方修正したが、原油価格などの下落で物価目標の2%には届かず。今後も注意深く見守っていくとした。FRBは年内利上げの見通しを4回から2回に引き下げたため、引き下げを3回と予測していた市場では株価が急上昇し、ドル安・円高が進んだ。FRBは利上げペースの鈍化理由として、企業の設備投資の弱さ・海外経済への懸念を挙げている(テレ東)。

 

5.消費増税延期か?

安倍首相が著名な経済学者などを呼び、意見を交わす国際金融経済分析会合の初会合でノーベル経済学賞を受賞した米国の経済学者・スティグリッツ教授が世界経済の現状を踏まえ、来年4月の消費税率引き上げは避けるべきだという認識を示した。米国コロンビア大学・スティグリッツ教授は「今は極めて難しい時だ」とコメントした。与野党双方からは消費増税の延期や参議院選挙に合わせて衆議院を解散するための布石ではないかという指摘が出ている。一方、来年4月に消費税率を10%に引き上げるのに合わせて軽減税率を導入することなどを盛り込んだ新年度平成28年度の税制改正関連法案が参議院本会議で賛成多数で可決成立した。新年度の税制改正には法人税率を来月以降、現在の32.11%から29.97%に引き下げ、平成30年度にはさらに27.74%まで段階的に引き下げることも盛り込まれている。(NHK)。

 

6.エネルギー関連の動き

滋賀県の大津地裁は福井県の高浜原発の運転停止を命じる仮処分を決定した。稼働中の原発の運転停止命令は全国で初めてとなる。再稼働から1か月余で再び運転停止となった(フジ)。一方、国内の原発で唯一運転中の鹿児島県・川内原発(九州電力)の周辺の住民が、運転の差し止めを求めていたが、福岡高裁宮崎支部は「原子力規制委員会の判断が不合理であるとは言えない」として、運転の差し止めを認めない決定をした(4/6日テレ)。その他の動きとしては、四国電力が来年運転開始から40年を迎える愛媛・伊方原発1号機を廃炉にすることを決めた。国の新規制基準では原発の運転機関を原則40年としていて、1回に限り最長で20年の延長を認めているが、運転延長には1700億円以上の安全対策費用がかかるなどとして廃炉を決めた。伊方原発をめぐっては3号機で再稼働に向けた手続きが進められていて、四国電力は今年、7月下旬の再稼働を目指している(日テレ)。

 

 

●注目点

「明暗が分かれる総合商社」

菱商事は2016年3月期の純損益が赤字に転落するとの見通しを発表した。三菱商事は3000億円の黒字を見込んでいた2016年3月期の業績予想を下方修正し、1500億円の最終赤字に転落するとの見通しを発表、チリの銅事業などで4300億円の巨額損失を計上する。23日には三井物産も赤字転落を発表するなど両社とも創業以来初の赤字なのに対し、資源以外の分野が好調な伊藤忠商事は過去最高益を更新し、住友商事丸紅も黒字を確保する見通しで、総合商社の決算をめぐっては明暗がはっきりとわかれている。三菱商事・小林健社長は「誠に遺憾ながら通期業績予想を1500億円の赤字に下方修正する」とコメントした(テレ東)。

 

 

●新潮流

「シャープ・東芝白物家電・アジアの企業グループの下・出直しへ」

界を席巻した日本の大手電機メーカー、このうち液晶テレビで知られるシャープを台湾のホンハイ精密工業が買収することが正式に決まり、東芝は白物家電を扱う子会社の株式の80%余りを中国の美的集団に売却することで最終的な契約を結んだ。ホンハイがシャープの増資を引き受け株式の66%を取得し買収する。しかし1株当たりの取得額を引き下げることで当初から約1000億円をひき下げて出資額3888億円とする。また、シャープのブランドを継続的に使用することなどでも合意した。それぞれ取締役会を開き買収を決定。4月2日に最終的な契約を結んだ。不正会計の問題を受けて経営の立て直しを進めている東芝は白物家電を扱う子会社の株式の80%余りを中国の美的集団に売却することで最終的な契約を結んだ。美的集団はグループ全体の数が10万人を超える中国を代表する家電メーカー。40年間は東芝ブランドの商品を販売しアフターサービスにも対応する。日本を代表する2つのブランドがアジアの代表的な企業の下で出直すことになる(NHK)。

 

 

3月のランキング(企業別テレビ報道CM価値換算一覧全国版より)

「第1位・三井不動産、第2位・セブン&アイ・ホールディングス、第3位・東日本旅客鉄道」

月の、CM価値換算値第1位には三井不動産が、29億5700万円でトップに輝いた。具体的には「東京ミッドタウン」における各種イベントや「ららぽーと」「三井アウトレットパーク」における催しもの等に加えて、八重洲口のオフィスビルに認定こども園を開設したこと等の報道が寄与した。第2位は「セブン&アイグループ17社・1269人が一足早い入社式」などの報道でセブン&アイ・ホールディングスになった。第3位は、「カシオペア・歴史に幕・2200人が別れ惜しむ」などの報道で、東日本旅客鉄道が獲得した。第4位は、「金星探査機あかつき・トラブル乗り越え・来月中旬から本格観測へ」などの報道で、宇宙航空研究開発機構、第5位は、「人工知能・コンピューター同士対戦・囲碁世界大会」などの報道でグーグル、第6位は、「売れているのは?無印良品・人気の新商品を当てろ」などの報道で良品計画になった。第7位は、「人手不足の外食業界・人材確保へ新戦略」などの報道で、すかいらーく、第8位は、「三越伊勢丹ホールディングス・国内では初の中型店をオープン」などの報道で三越伊勢丹ホールディングス、第9位は、「最強の帽子対決」などの報道でカネカ、第10位は「東京ディズニーランド・春の祭り“イースター”公開」などの報道でオリエンタルランドとなった。

 

 

3月の人物ランキング

「第1位・鴻海精密工業・郭台銘会長、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁、第3位・ソフトバンクグループ・孫正義社長」

第1位・鴻海精密工業・郭台銘会長66件(シャープ買収・台湾企業鴻海&“大富豪”会長の狙いなど)、第2位・日本銀行・黒田東彦総裁50件(日銀総裁・消費増税で成長率0.7ポイント押し下げなど)、第3位・ソフトバンクグループ・孫正義社長28件(キーマンは“昨日の敵”ヤフー38万店で2強追撃など)、第4位・シャープ・高橋興三社長25件(経営再建へ第一歩・シャプ・ホンハイが買収を決定など)、第5位・ファーストリテイリング・柳井正社長18件(“ユニクロ”が一足早い入社式など)、第6位・東芝・室町正志社長14件(東芝が新事業計画発表など)、第7位・三井物産・安永竜夫社長10件(三井物産・創業以来初の赤字へ・資源価格の下落で損失計上など)、第8位・エースコック・村岡寛社長9件(“カップ麺”でもヘルシー!・業界4位のサバイバル戦略など)、第9位・レオン自動機・田代康憲社長9件(世界の食文化を豊かにする…知られざるグローバル企業など)、第10位・三菱商事・小林健社長8件(三菱商事・創業以来初めて最終赤字の見通しなど)。

 

 

●テレビの窓

「民間月面探査にKDDIが通信技術で協力」

面探査の国際コンテストに参加している日本の民間のチームに、大手通信会社・KDDIが協力する。KDDIは23日、会見し、HAKUTOに協力し通信関連技術や機材などを提供することを発表した。昼は100度以上、夜はマイナス150度以下という月面の厳しい環境での画像伝送に挑む。このコンテストは世界16チームが来年末までを期限に、最も早い月面探査の成功を競うもので、日本からは東北大学の研究者や宇宙関連企業の開発者などによる民間のチーム「HAKUTO」が参加する。KDDI・田中孝司社長は「(KDDIには)50年以上に及ぶ宇宙通信のDNAがある」とコメントした。またHAKUTO・袴田武史代表は「この技術が確実になることでミッションの成功率が1段階上がる。月面に着いたあとは確実に優勝できると確信している」と述べた(NHK)。

 

 

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