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『第3の目』
ドキュメント・アナライザー による分析

「政治とカネ」問題の軌跡を検証

 今まさに政治的に重要な課題となっている「政治とカネ」この問題を4月1日から9月30日まで6ヶ月にわたって、テレビ報道がどのように報じ、日本社会がどのように動いてきたかその軌跡を追い検証した。

 「政治とカネ」の問題は日本の政治を考える際に大きな課題として浮上する。政治団体はその力を背景に財界や支持者から資金の支援を獲得しようとする。そのため政治資金を獲得する目的で不透明な事態が生じ度々政治問題となってきた。しかし誰の目にも政治に資金が必要であることは事実であり、この資金の透明度を上げるため国民の税金から各政党に配布しようとしたのが「政党助成制度」である。政治団体の資金調達手段はこれだけではなく、「政治資金規正法による政治資金」もある。
 今回の問題を通して議論されているのは、こうした収入部分ではなく支出の部分を1円の単位まで証拠となる領収書を添付しようという動きであり、そういう意味では資金調達力の強い自民党と他党との攻防であるといってもよい。
 この問題は10月の第1週の段階では、領収書をはじめから国民へ公開するか、第三者機関のチェックで済まそうかという攻防にまで煮詰まってきた。とはいうものの自民党の実力者の中には、領収書の公開はしたくないという声も燻っている。この問題が公開するという形に収束すると次は「政治団体が企業団体からの献金を禁止するべき」という収入の面に議論の焦点が集まってゆくからとも考えられる。

(調査内容)
1、 4月1日から9月30日までの報道番組の局別総時間(日別)
2、 4月1日から9月30日までの「政治とカネの問題」に関するテレビ報道の局別総回数(日別)
3、 4月1日から9月30日までの「政治とカネの問題」に関するテレビ報道の局別総時間(日別)
4、 報道内容の変極点の考察
5、 この問題についての各局の報道姿勢
6、 まとめ

(調査レポート)
1から3までの項目は表とグラフで添付する。



4、 報道内容の変極点の考察
以下に変極点とその報道要約を列挙する。

① 政治と金を巡る問題では野党3党(民主・社民・国民新党)が松岡利勝農林水産大臣の光熱水費問題などを追及するプロジェクトとチームを結成。(4月1日)

② 塩崎恭久官房長官は政治とカネの問題について「李下に冠を正さず」が取るべき態度だとした上で法改正を含め、党にこの問題の答えを出来るだけ早く、出すよう指示 を出しているとした。(4月16日)

③ 政府・与党は、憲法改正の手続きを定める国民投票法案が14日に成立する運びとなったことを受けて、会期末をにらみながら、残る重要法案の審議を急ぐことにしている。これに対し、野党側は、政治とカネの問題を追及するなど対決姿勢を強めることにしており、終盤国会での与野党の攻防が続く見通し。(5月13日)

④ 【「政治とカネ」きょう集中審議】
与党側は政治資金規正法の改正案を提出して成立を図る方針で「政治とカネ」問題に取り組む安倍首相との決意を問うことに。これに対し野党側は、松岡農相の問題を取り上げ、事実関係の説明を求めて納得がいく説明が得られなければ証人喚問を改めて求めていくことに。民主党は与党提出の改正案は透明化策として不十分としている。(5月20日)

⑤ 【衆議院予算委員会】
(中継)国会記者会館。国会では政治とカネの問題について集中審議が行なわれている。野党側は松岡利勝農林水産大臣の高額な事務諸費問題を中心に追及。安倍晋三首相自ら、民主党・小沢一郎代表の不動産所有問題を持ち出す。松岡利勝農林水産大臣と相変わらずの逃げ切り姿勢。「松岡問題」に進展なし。与党は、資金管理団体にもとづいて5万円以上の領収書添付義務づけ目指す。民主党・岡田克也元代表が与党案について追及。(5月23日)

⑥ 【松岡利勝農林水産大臣・議員宿舎で自殺図る】
東京港区・赤坂議員宿舎で松岡利勝農林水産大臣が首をつっているのを秘書らが発見。病院に搬送されたが現在、心肺停止の状態。(中継)赤坂議員宿舎、東京新宿区・慶應義塾大学病院前、国会記者会館、農林水産省。23日の衆院予算委員会の政治とカネをめぐる集中審議に出席。事務所費や水道光熱費の問題で追及されたが、法律に則って処理していると答弁していた。説明責任を果たしていないなどと批判が強まっており、自民党にとっては参議院選挙に向けてマイナス要因となっていた。(5月28日)

⑦ 政治とカネ問題・松岡利勝元農水相の自殺について。「松岡利勝元農水省の任命責任は私にある。政治資金問題は、今までのルールに問題があったと認識を持っている。」(6月24日)

⑧ 【閣僚の政治とカネが再燃・・・赤城農水相「事務所費問題」】(7月9日)

⑨ 【赤城農水相「政治とカネ」問題に「政治家と領収書」の疑問】
事務所費問題で、赤城農水大臣が改めて会見を開いたが、その内容をめぐってさらに波紋が広がっている。(7月10日)

⑩ 歴史的大敗の責任を問われる立場の安倍晋三首相が続投を宣言。9月に党役員人事と内閣改造を一緒に行う意向を表明。(7月30日)

⑪ 【公選法違反・政府・与党に新たな火種】
政治とカネの問題に国民の厳しい目が向けられる中、政府・与党は新たな火種を抱えている。与党内では議員辞職まで発展するのではという声も出ている。安倍首相は難しい判断を迫られる。野党はこの問題を追求していく方針。(8月8日)

⑫ 安倍総理は内閣改造を27日に行うと明言。安倍晋三総理の会見。自民党・中川秀直幹事長は「サンデープロジェクト」に出演し、内閣改造の焦点となっている政治と金の問題について語った。(8月20日)

⑬ 参院選で自民党が大敗した一つの原因になった"政治とカネ"だが、塩崎官房長官の事務所の職員が自民党愛知県第1選挙区支部の政治資金約630万円を私的に流用していたことが明らかになった。塩崎事務所によれば、この職員は発覚を防ぐために、政治資金収支報告書を工作していたとのこと。長瀬法務大臣が政治献金について不透明な部分があると指摘されたことについて塩崎官房長官は「国民に対して必要な説明をするよう」指示したのに対し今回の問題で本人は会見も開いていない。(8月26日)

⑭ 【またも農水大臣が謝罪・「政治とカネ」問題続々・防衛省人事バトル】
農水省関連法人が補助金支給の団体から不適切な献金を受けていたとして、31日午前、遠藤農林水産大臣が謝罪会見をした。(8月31日)

⑮ 遠藤農林水産大臣に関する政治とカネ(9月2日)

⑯ 【安倍改造内閣・相次ぐ辞任でピンチ】
遠藤農林水産大臣は3日、自らが組合長をつとめていた山形県の農業共済組合が、国の補助金を不正に受給していた問題の責任をとって辞任した。内閣改造からまだ一週間であるにも関わらず、「政治とカネ」の問題で、遠藤農水大臣と坂本外務政務官が辞任し、玉沢元農水相が離党届を提出した。(9月4日)

⑰ 【「政治とカネ」・「年金着服」・舛添要一厚労相が生出演】
安倍改造内閣発足から2週間、就任わずか8日で遠藤武彦農水相が補助金不正受給問題で辞任、ほかにの閣僚にも政治とカネをめぐる問題が次々発覚した。(9月9日)

⑱ 安倍首相の辞意表明で国会は空転している。最大の焦点となっていたテロ特措法、政治とカネ、年金問題について国会で話し合われているはずだった。(9月16日)

⑲ 【「1円から領収書」自民・公明が合意】
自民党・伊吹幹事長と谷垣政調会長は公明党・北側幹事長らと協議し、「政治とカネ」の問題で、1円以上の支出に領収書添付を義務付けることで合意。ただ、公明党の求める領収書の公開については自民党は否定的で、今後、野党も交えて協議する予定。自民党と公明党はあす党首会談を行い、連立政権の維持を確認する方針。(9月24日)
【自民党・公明党・「政治とカネ」で大筋合意】
自民党・伊吹幹事長らが公明党・北側幹事長らと政権協議を行い、「政治とカネ」問題で1円以上の支出に領収書添付を義務付けることで合意した。公明党が領収書の公開を求めたが、自民党は公開に否定的で、今後は野党を交えて協議することになる。(9月25日)
【「政治と金」自民党案・領収書一般公開せず】
自民党は不透明だとして指摘されている政治資金について福田総理大臣は1円以上の領収書の添付を義務づける代わりに、一般公開はせず第三者機関のチェックにとどめる方針を固めた。26日の自民党改革実行本部政治資金PTの会議ではこの案に賛成の声が相次いだ。今後新しい機関の権限などについて検討する。公明党は領収書の一般公開を主張し、与党内の調整が焦点になる。(9月26日)
【福田内閣が始動】
福田内閣が正式に発足。福田首相は各閣僚に対して政治と金の問題で政治団体の終始報告書点検を徹底するよう指示をした。(9月27日)
【福田内閣でも政治とカネ】
石破茂防衛大臣の資金管理団体は大臣本人から法律の上限である1000万円を超える個人寄付があったと政治資金収支報告書に記載していた。そのため寄付の種類を分けるための訂正を大臣就任が決まった日におこなった。また初入閣を果たした渡海紀三朗文部科学大臣が代表を務める選挙区支部は2003年の衆議院選挙公示日と2005年の公示日前日に国から発注された公共事業を請け負っていた建設会社から併せて200万円の寄付を受け取っていた。渡海紀三朗文部科学大臣は寄付金を返金するとしている。福田総理も両大臣に説明責任を果たすよう指示をした。(9月28日)
【「政治とカネ」問題・福田総理大臣も領収書書き換え】
福田総理代表の支部が衆議院前後に国と契約する群馬県内の清掃業者から200万円の寄付を受けていた。収支報告書に添付された領収書コピーの宛名が書き換えられていた。(9月29日)
【NHK日曜討論・政治とカネで与野党議論】
自民党の谷垣政調会長は、政治団体の支出をチェックする第三者機関を国会内に置くが、すべての領収書を公開する必要はないと主張したのに対し、民主党の直嶋政策調査会長は領収書の公開を義務付ける法案を参議院に提出する考えを示した。(9月30日)


5、 この問題についての各局の報道姿勢
 この問題についての各局報道の姿勢は全般的に見るとNHK、日本テレビ、テレビ朝日の報道が多いことに気がつく。報道時間数でいえばNHKが圧倒的に多い。報道回数でいえば日本テレビ、NHKが多い。
 この間の報道には4つの大きな波があり、第一の大波は5月7日から6月10日までで重要法案を会期末を睨みながら政府・与党が審議を急ぎだした頃から、ピークは5月28日の松岡利勝農林水産大臣の自殺であった。
 次の大波は、赤城農林水産大臣の事務所費問題であった。
 そして第三の大波は7月30日の「政治とカネ」「年金問題」によって与党が大敗した参議院選挙結果であった。
 更に第四の大波は8月26日に塩崎官房長官の政治資金私的流用問題、長瀬法務大臣の不透明な政治献金問題が報道され、9月4日に遠藤農林水産大臣の辞任、坂本外務次官の辞任、玉沢元農林水産大臣の離党と続いた。
 この問題についての各局のテレビ報道の密度は9月29日にピークを迎えている。

6、まとめ
 この問題に関するテレビ報道は、松岡農水大臣の自殺当時よりも最近の方が報道回数、時間ともに飛躍的に増えて、9月24日の「1円から領収書」に自民・公明が合意したという報道から石破防衛大臣、渡海文部科学大臣そして福田総理大臣までも不適正な収支報告処理が発覚しその度に問題になり、更に民主党にも及ぶこととなりとどまるところを知らない大問題に発展している。

【統計資料より抜粋】


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